近年葬儀の形式として多くなっている家族葬。今回はその家族葬で起きるトラブルの事例をいろいろな角度から取り上げていきたいと思います。一般の葬儀と少し違う部分が誤解を生みトラブルになる場合もあります。事例などを上げながら説明をしていきたいと思いますので参考にしていただけたらと思います。
1. 家族葬で起こりやすい葬儀会社とのトラブル
家族葬に限らず葬儀を行う時にトラブルになりやすいのが費用のことです。親族がお亡くなりになられてから葬儀を執り行うまでは、短時間でいろいろと判断を迫られる場面が多くなります。時間が無い中で葬儀会社の提案をそのまま受け入れてしまい、後に想定外の費用が発生してしまうということも少なくないそうです。
親族が突然亡くなられた場合。
病院に搬送されそのまま息を引き取ってしまった場合、病院と提携をしている葬儀会社が遺体を引き取りに来て、そのまま葬儀のご依頼をすることもあります。当然、打ち合わせをし、見積もりをされますが葬儀の行い方によって費用の計上も変わってきます。
その慌ただしい中で説明をされ、なんとなく納得してしまい、そのままお願いをしてしまうことがあると思います。
すべてのケースではありませんが、葬儀が終わった後の請求書をみて愕然とすることも多々あるようです。
ではこのような場合には、どうしたらよいでしょう。
1-1.日頃から葬儀についての情報を収集しておく。
元気なうちは、情報を収集しようなんて思われないと思いますが、近所の葬儀会社においてあるパンフレットをもらったりインターネットで調べたりするなどして情報は収集しておくことが良いでしょう。回覧板や自治体の広報誌などにも広告が掲載されていたりしますので葬儀社が自分の住まいの近くのどのあたりにあるのかを把握するなども良いと思います。いざという時に幾つかの選択肢があれば葬儀会場のことや費用のことなど比較しやすくなるのでそれだけで安心してお願いできると思います。
1-2.しっかりと要望を聞いてくれる。説明をしてくれる葬儀会社と話を進めましょう。
話をすすめる時にしっかり要望を伝えてみましょう。その要望をしっかりと聞き入れてくれて提案をしてくれる葬儀会社と話を進めることをお勧めします。中には「葬儀はこのくらい費用が掛かるのは当たり前ですよ」と頭ごなしに説明してくる営業担当もいるようです。こちらからの希望を伝えていくつかの提案をもらい、納得のできる説明をしてくれる葬儀会社は、葬儀が執り行われる際も遺族に寄り添った対応をしてくれると思います。
昔は遠慮しがちであった事前相談も、最近では当たり前のこととして行われています。
※参考サイト
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20151217_1.html
2. 家族葬のトラブル事例
国民生活センターへの問い合わせでは葬儀会社と親族間でのやり取りのトラブルが多いようです。その対応方法は前述でもご説明した通り、日頃からの情報収集としっかりと要望を聞いてくれる葬儀会社なのかが判断材料になります。
葬儀を執り行う前のトラブルを回避することも重要ですが、葬儀中もトラブルが発生することがあります。ここでは、実際に当社がお手伝いさせて頂いた葬儀の中で実際にあったトラブルの事例をご紹介していきたいと思います。
2-1.お坊さんの手配でトラブル
家族葬でも基本的に通常の葬儀と同様、お坊さんにお経をあげて頂きます。その際
檀家になっているお寺様にお願いしてお経をあげてもらいます。または先祖代々でお付き合いのあるお寺様にお願いをする場合があります。しかしながら都心部ですと地方から首都圏へ上京して、お寺様とのお付き合いがない方がほとんどです。そうなると葬儀になった場合のどこかのお寺様にお願いしなければなりません。その場合は葬儀会社がお坊さんの手配をするケースも珍しくありません。今回の葬儀もそのような流れで当社からお寺様に依頼をするように話が進んでおりました。
お式の段取りが進む頃に喪主のご友人でお坊さんがいるという話でご遺族側でもお坊さんを手配されてしまいました。式の段取りの段階では、当社で手配をするようになっていましたが手違いで双方の手配したお坊さんが葬儀の場に来てしまうとう事態になってしまいました。結局は当社で手配したお坊さんにお経をあげて頂きましたが後日、喪主側のお坊さんから「葬儀場まで来たので」という理由でご遺族に請求が来たそうです。その金額が相場より高いのではないかと相談があり、当社の手配したお坊さんに仲介して頂き事なきを得ました。
この場合はお坊さんの手配でしたが、葬儀の時に知人やご友人だからと葬儀会社と打ち合わせにない所で話が進んでしまうと無用なトラブルが起こる可能性があります。そうならないためにも、打ち合わせの時にご遺族の方は遠慮なくご要望をお申し出頂きたいと思います。何より故人とのお別れでのトラブルはネガティブな思いでが、残ってしまうので慎重にしたいものです。
2-2.田舎から来られたご親族とのコミュニケーションは大事。
お坊さんの手配のトラブルの内容でも触れましたが、上京された方が葬儀をあげる場合に地方の風習と違う葬儀になることがあります。例えば葬儀をあげる時に一日葬と伝えていたのですが、地方から来られる方で特にご年配の方などは、通常の葬儀と同じと思ってしまい通夜を行うと思ったら葬儀しか行われずに困惑するケースがあります。また、家族葬だからと祭壇などを質素にしすぎると地方の葬儀と比べて質素になり過ぎて故人のご兄弟などがご参列される場合に後々「もう少し盛大に葬儀をやってあげたかった…」などの不満の声があがることもあります。反対に、こんなに立派に良くやってくれたと喪主へ感謝の言葉を送られることもあります。
祭壇に対してのご覧になった感覚は人それぞれですので、難しいところではあります。しかしながら、ご遺族が精いっぱい送ってあげて後悔の無い葬儀が出来ることが重要かと考えております。事前にご遺族とご親族とよくコミュニケーションをとられることも大切です。あの時の葬儀はこうだったと長い期間話題にされることもあります。参列される方への配慮も忘れずに執り行うことも考えておきましょう。
2-3.私だけ・・・
家族葬は、ご親族も参列します。頻繁に会う親族ばかりでないとコミュニケーション を取れないまま葬儀に参列しなければならないことも少なくありません。そのような場合に起こりうるトラブルは、葬儀場に来場したと時に他の親族は供花をだしていたのに、その方だけお花を手配していなかったということがありました。当社の担当がそのことを早めに把握して、葬儀が始まる直前に何とか間に合いました。
供花を手配する場合ご遺族様は周囲の方に連絡を取り漏れが無いように声掛けをしてあげる配慮が必要です。供花のご依頼は直接伺うには遠慮があり伝えづらいケースもあります。その際は親戚のどなたかに上手くまとめていただくというのも一つの方法です。親族でも失礼が無いようにしてあげたいものです。
2-4.家族葬でのご近所とのトラブル
家族だけで葬儀をあげると伝えた時にご遺族の把握出来ないところで話が広がってしまい、当日式場へご近所の皆様が来てしまったというケースもあります。次のようなケースもありました。
故人の娘様が火葬式をご希望されておりましたが、御爺様が通常の葬儀をされると勘違いをされてしまい近所の人が葬儀場へ来てしまいました。当然返礼品などの用意もなく火葬だけを行ったので葬儀の形での参列は出来ませんでした。返礼品などは後日贈る手配をしなければなりませんでしたが、何よりも葬儀へ参列するつもりが火葬のみとなってしまったので少し後味の悪いものとなってしまったように感じます。ご家族の間でも意思疎通をし、連絡についても確認することが大切だと思います。
また、近所の掲示板で報告する場合も見た方がご自宅へお線香をあげに来たりするなどで対応が大変だったというお声も聞いたことがあります。家族葬といっても故人が親しかったご友人や会社の同僚なども参列する場合があります。誰に参列されることが望ましいかということもご遺族の皆様で考え、話し合いをしておいた方が良さそうです。
3. 一般葬と比較した際の家族葬のメリット
通常の葬儀の場合は一般の方も参列されますが、家族葬は故人とのお別れを親族だけで行えますので静かにゆっくりと最後のお別れが執り行えるということになります。これが家族葬にて執り行う最大の特徴といえるでしょう。
4. 一般葬と比較した際の家族葬のデメリット
前述でも申し上げた通り、家族葬と周りに伝えても故人との関係性でご友人や会社 の同僚などが最後にお別れしたいという気持ちがあり、参列者が増えてしまう場合があります。
当初、家族葬と決めていたけど参列者が増えてしまった場合はどのようにしたら良いでしょうか?
5.無事に家族葬を行うために・・・
はじめは「家族葬で」と考えていても、声をかけてみたら人数が増えてしまったというケースは多々あります。故人様の人柄でたくさんの方が会葬にいらっしゃることは、それは素敵なことであると思います。そのような場合、まずは葬儀会社に相談してください。お料理や返礼品等の接待費用は人数に応じて変わります。親族の人数とともに故人の関係者を割り出し、何人になりそうかをあらかじめ想定してみてください。その人数に応じて会場の確定や日時が決まってきます。
もしわからない場合に一番の相談相手が葬儀会社です。段取りなどは全て葬儀会社に相談しながら、ご遺族様は周辺への配慮を心がけて頂きます。それが無事に葬儀を執り行うことに繋がり何よりも故人への供養となります。